ところがそれがどこからか噂となってクラスに知れ渡り、彼もけいちゃんも、そしていくちゃんもお互いに顔をあわせると緊張してしまうようになっていた。

 なのに、なぜわざわざ隣の席にいくちゃんがやってきたのか、けいちゃんは少し困惑中。

 少し沈黙の時間が流れたあと、けいちゃんは思い切っていくちゃんに話しかけた。

「…あのね、いくちゃん…」
「…なぁに?」
「あの…ごめんね、ヘンなことになっちゃって…謝ることもできなくって…」
「そんなこと気にしてたの?
いいよ、けいちゃんのせいじゃないもん。」
「でも、気にしてるでしょ?」
「ぜんぜん。そんなこと、もういいんだよ。」
けいちゃんはほっとした。いくちゃんはあまりあのことを気にしていないみたい。
「ね、食べない?わたしが作ってきたの」
けいちゃんは、いくちゃんが差し出すクッキーを受けとる。
「わー、ありがとう。いただきまーす」
「お茶もあるよ。ね、これからも仲良くしようよ。」

いくちゃんの優しい言葉を聞いて、けいちゃんもやっと気持ちが安らいだ。

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